朝日新聞デジタル・マイベストプロ　取材記事

「臭気・衛生の課題に対して、
建物全体をとらえて解決に導く」
独自の消臭トータルケアで悪臭を解決する臭気判定士　村井敏夫さん

消臭剤、脱臭機だけでは取り切れない「におい」がある

　新宿区にある日本消臭抗菌予防株式会社代表の村井敏夫さん。2014年 に消臭剤、脱臭機だけでは取り切れないにおいを消したいと一念奮起し、日本消臭抗菌予防株式会社を設立しました。国家資格でもある臭気判定士を習得し、東京大学の教授が確立した「光触媒」など環境や人に安全な科学技術を駆使して、解決に至るまでのトータルケアサービスを提供しています。その誠実な企業姿勢は、名だたる大手高級ホテルからも支持され、全国を飛び回るほど忙しい毎日を送っています。

　昨今プロとしてある「気付き」があり、サービスへの姿勢が更に深まったそうです。
「もともとは製造メーカーとしての立場から、製品だけで解決することを考えていました。ただどんなご相談でも『一つだけの原因』ということは少ないと感じ、建物全体に関わる問題としてとらえていこうと思うようになりました」と村井さん。
　それに伴い、現在は一歩進んだ新たな事業を展開しています。
「理念として目指すものは『幸せな快適空間をつくるお手伝いをしていく』ことです。依頼された臭気・衛生でのお悩みについて、建物全体の課題をみつけることで、予防も含めて長期のスパンで取り組みたいと考えています」

「科学」「技術」そして「考え方」をもとに原因を調査分析し、解決するまで粘り強く取り組む

　村井さんは「消臭」、「抗菌・抗カビ」、「消毒・感染予防」というサービスの3つの柱は、快適な空間をつくる上で欠かせないものと考えています。
「消臭」のお悩みの多くは、質の高いサービスを提供するホテルや宿泊施設からです。
「ホテルからは最近、香水を部屋の中に振りまく海外からのお客さまがいたりして『香水臭がとれない』といった悩みも多くいただきます。
香水は薬剤だけでは、においをとりきれません。そのため大学と共同で、香水専用の消臭剤を共同開発しました。近いうちに商品化できると思います」

　また「抗菌、抗カビ」のご相談の多くは、美術館や博物館、図書館など、温度と湿度の調整が必要とされる施設が主な対象です。
　「気付きにくいのですが、においとカビは連動することが多いものです。実は自動的に温度と湿度を同時に制御する有効な設備や機械はありません。一定の温度設定ができても、湿度を自動的に変更できず、カビが発生する場合が多くあります」
　そしてコロナショック以降需要が高まっている「消毒・感染予防」という感染症対策のご相談にも応じています。
「人の往来の多い施設であるホテルや店舗・商業施設などの感染症対策に取り組んでいます。お客さまと相談しながら、衛生基準やその実施プランを策定し、可視化しPRすることが、施設の利用者様と従業員様から安心と信頼を得ることにつながると考えています」

重要なスキルとして「課題を見つける力」を養っていく

　企業理念の実現のために、村井さんは挑戦と新しい視点を忘れません。
通算で54回にもわたる研修会や勉強会は、社長自身が講師をつとめるだけでなく、異業種のトップリーダーを迎えることもあります。
「全てのサービスに共通しますが、課題を見つけることが、実は問題解決よりも難しいものだと感じています。研修などで社員全員がグループ討議などを通じ、自分自身で考えることを大切にし、課題発見力を養う努力をしています」
　また社会貢献として「こども食堂」や「ユニセフ」などへの支援も積極的に行っています。
「こども食堂の写真を見て、元気と勇気をいただいています」と嬉しそうに話す村井さん。

　そして起業当初から変わらない信念があると続けて教えてくれます。
「今の世の中では、多少ごまかしてもいいだろうという姿勢があるかもしれません。だからこそ、最も大切にしていることは『誠実である』ことです」
　誠実な姿勢は、保証としても掲げられ、もし依頼された方がサービスに満足されなかった場合には、全額返金をしています。
「何ができなかったかを考える機会と思い、次につなげていこうと考えています。私たちのサービスは、課題を見つける力が重要なスキルです。これからもそのスキルを高め、お悩みの解決につなげ、みなさまの幸せな快適空間をつくるお手伝いをしていきたいと思っています」
　地道な努力を怠らず、常に顧客の立場を尊重した真っ直ぐな村井さんの企業姿勢は、これからの時代に更に求められていくことでしょう。

（取材年月：2020年5月）