においには長い歴史のある日本。においや香りについて、様々なサービスがありますが、高品質なサービスを提供されている日本のホテルから、「におい」に対する考え方、向き合い方を学びました。
においの歴史
- 「におい」という言葉は、「臭気」や「香り」がイメージされますが、古くは色の際立ちや美しい様を言う言葉として使われていました。
万葉集でも「青(あお)丹(に)よし 奈良の都は 咲く花の 匂(にお)ふがごとく 今盛りなり」と、平城京の鮮やかに映えて見える様が「匂ふ」という言葉で表現されています。
- 室町時代に確立された香道では、香木の香りを楽しみます。
「香」は仏教儀礼とともに、大陸から伝えられたと考えられています。最も古い「香」の記述は日本書紀です。
「香」は、奈良時代には主に仏前を清め、邪気を払う宗教的な意味合いが強いものとして用いられていました。
平安時代にかけて次第に、貴族たちは日常生活の中でも「香」を楽しむようになりました。
枕草子や源氏物語にも「香」の記述が多く見られます。
(出典:公益社団法人におい・かおり環境協会 ホームページ)
- 特に、源氏物語では、においや香りの描写が多くみられます。
夜の闇がいまよりも深かったため、人々は「におい」で人を区別していたようです。
例えば、空蝉は自分の寝所に忍んできた人物を、においで光源氏と判断しています。あるいは、光源氏は末摘花の香りに「さすがは高貴の姫君」と納得しているシーンがあります。
- 室町時代には、武士の嗜みとして、茶道、華道とともに香道が体系化。
織田信長も「香」に惹かれた一人です。
天下の名香とされる香木に正倉院に収蔵されている「蘭奢待(らんじゃたい)」があり、信長が切り取った跡も残っています。
江戸時代には、町人にも「香」が広まり、国内で初めて「線香」が作られたのも江戸初期といわれています。
香りは単に鼻で嗅ぐというだけでなく、五感で感じ、生活に彩りや癒やしを与えるもの。日本の香りの文化は、独自の繊細な感性が生み出したものと言えます。
(出典:公益社団法人におい・かおり環境協会 ホームページ)
においに敏感な日本人が好むにおいとは?
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とりわけ、日本においては、「におい」には大変関心があり敏感な民族であると言えます。
そのため「無臭」が好まれます。 -
高品質なサービスを提供するホテル、特に日本のホテルは、客室での「におい」にこだわりを持っています。
入口からロビー・フロントの導線あたりでは、お香やアロマの香りで演出するサービスもありますが、客室では「無臭」を基本としています。 -
上述のようににおいにこだわりのある日本人は、香りにも好みがあり、万人受けする香りは大変難しいと言えます。
そのため、「無臭」「何もにおいを感じない状態」がベストとする判断に至ると思います。